■ネコアレルギー■
僕はネコアレルギーだ
お前は人嫌いで気高かった
いつも高い場所から背筋を伸ばして僕らを見下していた
お前が傍に寄るだけで 全身を駆け巡る嫌悪感
運命なんてもんがあるならば
憎みあうために出会ったのだろう

僕は大好きな街を出ることになり
誰にも言わずに空を眺めた
皆は知らずに笑ってた 僕は必死に笑顔を作った

街が静まりかえると
僕は大好きな街を想った
色んな物がありふれた 大好きだった街を想った

夜の静寂に紛れた 僕の心は一人だった
誰も知らぬということが 誰もいないことのようで

お前は物音も立てずにそっと隣に座り込んだ
小さな頭をもたげて 僕に安らぎをくれた

どうしてお前に解るのか
甘えられることの安らぎや
気を許されたことの幸せを

僕はネコアレルギーで
涙がずっと止まらなかった
すでに全身は痺れてしまって何を考えることも出来ないじゃないか

翌日目覚めた友人が
「どうした何かあったのか?」
僕は腕の中を眺めて晴れた笑顔でこう言った
「僕はネコアレルギーなんだ」



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